御曹司は恋の音色にとらわれる

ぐふふふと少し怖い声で笑う中條さん。

「彼、イケメンだよ」

マスターが続ける。

頭にある、その男性を思い浮かべる、
年は２０代後半か３０代前半。

このオフィス街に相応しい、スーツをいつも着こなし、
私の方を見たり、目を閉じたりしている。

演奏中は店のライトを絞っているといっても、
ステージからは意外とお客様が見える。

そんな事を考えていると、
中條さんとマスターが顔を見合わせ。

「恋？」「恋の予感？」「青春！」
「お似合いだよね」「上手くいくとな」

とぼそぼそ話会っているのが聞こえ、
名前も知らない男性で盛り上ががれてもと苦笑した。