御曹司は恋の音色にとらわれる
「そろそろ閉店なんだがね」

店主がそう言ってきた頃には、
2人ともすっかり打ち解け合い、話が弾んでいる頃だった。

「あ、すみません」

この頃には、五十嵐さんも店主のペースを掴み、
普通に対応している。

「そろそろ出ましょう」私が席を立つと、

「そうですねと」と五十嵐さんも席を立った。

お会計、割り勘でいいかと思っていると、
五十嵐さんがさっさとお会計してしまっていた。

「すみません、自分の分は払います」

そう言うと、五十嵐さんは驚いた顔をして、

「そんな訳にはいきませんよ、ファンですから」

と店を後にしてしまった。
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