御曹司は恋の音色にとらわれる
『夜の猫』に到着。

戸を開けると、以前と同じ、店主の女性が迎えてくれた。

「旦那、あっちだよ」

一番奥にいる彼を指さしてくれる。

「ありがとうございます」

お礼を言って、彼の元へ急ぐ。

「お待たせしました」

そう言うと、五十嵐さんは本当に嬉しそうな顔をして、
「座って」と自分の前を指さした。

「再会を祝いたいが、まずオーダーしよう」

前回の教訓が生きているのか、
メニューを広げて私の前に差し出してくれる。
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