御曹司は恋の音色にとらわれる
しばらく考え、

「今日はコーヒーだけで」

「体調悪いの?」

五十嵐さんが、不安げに私を見る。

「演奏前にステーキ食べたんです」

その言葉を聞いて、彼は納得したようだった。

水とおしぼりを持って来てくれた店主に、
コーヒー2つと、オムライスをオーダー。

「ずっと、君に会いたかった」

ストレートな言葉に戸惑いつつ、

「私も会えて嬉しいです」

と、はにかんで答える。

「かわいい」とぽつりと言っているのを、
しっかりひらってしまって、どぎまぎしてしまった。
< 27 / 102 >

この作品をシェア

pagetop