御曹司は恋の音色にとらわれる
例によって、閉店だよと店を追い出され、
お会計時、「ホテルの場所教えてあげようか」
と店主の女性に言われ、五十嵐さんがあたふたすると言う、
微笑ましい(?)やり取りを見てから、

途中まで送るよと言う、彼の言葉に甘え、
駅まで一緒している。

歩いて数分、駅が見えて来た時、
五十嵐さんがチケットを取り出した。

「これ、聴きにいきませんか?」

見るとN響のチケット。

日曜なので、なんの問題もない。

「なので、連絡先教えてもらえませんか?」

チケットを餌にしている風でもあるが、
最初から連絡先を交換するつもりだったので、
スマホを取り出し、連絡先を交換する。

「これからよろしく」

「はい、お願いします」

そう言って駅に入って行く私を見送ってくれた。
< 30 / 102 >

この作品をシェア

pagetop