御曹司は恋の音色にとらわれる
「そんなに謝るのなら、罰を受けてもらおうかしら」

「何でも言って」

彼が前のめりで言う。

「2週間後、公園でヴァイオリンの演奏頼まれているの、
 一緒に来る事」

「なんだ、そんな事か、まったく罰じゃないよ」

「あら、私が罰と言うなら罰よ」

「厳粛に受けさせて頂きます」

畏まって、丁寧に礼をする彼に、微笑みかける。

「もうばればれだと思うので、言っちゃうけど、
 クラシックが特別好きな訳ではないんだ。
 むしろ君の演奏を聴くまで、ほとんど興味がなかったぐらい」

彼の言葉をじっと聞く。
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