御曹司は恋の音色にとらわれる
仕事が終わり、一度帰宅して、
よそ行き用の服に着替え、大きなケースと紙袋を持つ、

家にいたのは、ほんの10分ほど、すぐ踵を返し駅に向かう。

駅から電車に揺られる事2駅、
そこから10分程歩いたアクセスのいい場所に、
『ステーキバー メロディ』がある。

とは言え、ビルが立ち並ぶ、オフィス街。
その地下に向かうドアは茶色く黒ずんでおり、
普通歩いているだけなら、見落としてしまう所である。

ドア一枚という、狭い入口から想像できなが、
一歩足を踏み入れると、ステージがあり、
バースペースにカウンターと、
少し大きめにとられた木のテーブルが40程並んでいる。

「いらっしゃいませ」

マスターとバーテンダーが愛想のいい笑顔で、迎えてくれる。
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