御曹司は恋の音色にとらわれる
花火が終わった後、ホテルでルームサービスを取り、
果物などを口に運ぶ。

「ごめん、ホテルも本当は一番いい部屋
 取りたかったんだけど、
 予約で埋まってしまっていて」

「ここセミスイートでしょう?十分よ」

心の中で、お坊ちゃま決定?
起業でのし上がったって感じじゃないし、と考えていた。

ホテルのインテリアも、高級インテリ会社に
勤める私からすると、3分の1ぐらいは、
ブランド名と値段が分かる。

ビジネスホテルではありえない家具に、
けっして安くはない部屋だと、簡単に分かる。

「そのヴァイオリン、ストラディバリウス?」

「違うわ、ストラディバリウスなら普通で2億円するのよ、
 とても買えないわ」

「欲しい?」

2万ぐらいの服欲しい?ぐらいの気軽さで聞かれる。
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