御曹司は恋の音色にとらわれる
ここで演奏できるのは、マスターに認められた人だけなので、
中條さんもかなりの腕前。

50代前半で、2人のお子さんと住宅ローン持ち、
子供が大学に行くと言うので、とうとうおこずかい
カットされてしまい。
「このバーでの収入だけが僕のおこずかいだよ」と、嘆いていた。

普段は住宅メーカーでの営業で、バリバリ働いているが、
奥様には勝てないようである。

中條さんが手に持っている紙には、13程の曲名が書かれており、
その中で4・5曲演奏する。

「今日はどの曲にしようか」

「そうですね、先週はこの曲でしたし・・・」

打ち合わせをしていると、マスターが200グラムはあるステーキを、
ワゴンに乗せてやってきた。

「今日も期待していますよ」

「いつもありがとうございます」
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