御曹司は恋の音色にとらわれる
次の日、あいにくの雨で、
空を見ても、しばやく止みそうにはなかった。

スマホで話していると、迎えに行くよと電話があった。
25分ぐらいすると、スマホが震え、拓の名前を表示する。

『着いたよ』

「アパートの前?」

『そう、黒い車』

窓から見ると、エンブレムが付いた黒い車が止まっていた。
あわてて飛び出し、車に向かう。

車についていたエンブレムはベンツで、
その中でもハイクラスの物だと予想できた。

運転手が運転席から出て、戸を開けてくれる、
雨に濡れる運転手を申し訳なく思い、後部座席に滑り込む。

「おまたせ」

「美華会いたかったよ」

そう言って手を握ってくれる。
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