御曹司は恋の音色にとらわれる
運転手がいるので、恥ずかしくて何も言えないでいると、

「美華は会いたくなかったの?」とねだられ、

運転手を気にしながら、拓の耳元で「会いたかった」と小声で話した。

「彼は運転手の佐々木さん」

「佐々木さん、今日はお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願い致します」

優しい声で返事を聞き、ほっとする。

「じゃあ、言ってた楽器屋へ」

「畏まりました」

車は滑るように動き出す、単に高級と言うだけではないだろう、
プロの運転に感心していた。
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