御曹司は恋の音色にとらわれる
裏方では演奏の準備が始まる。

「うわぁ、緊張しますね」
オーボエをも持った、少し細い男性が言う。

「業界の大物だらけですからね」
はファゴットの演奏者。

「失敗するとチョンですかね」
と言って、フルート奏者は自分の首を切る動作をする。


すると裏方のおば様がやってきて、

「何情けない事いってんだい、
 プロ中のプロを頼んで、呼んだんだよ」

と、腰に手を当て恫喝し。


怯えた3人は「「「すみません」」」
と綺麗なハーモニーで謝罪してた。


私は、人前で演奏するのに慣れているはずの人でも、
確かにこれでは緊張すると苦笑しながらも、
いつも通り、音程を確認する。

「緊張しないんですか?」
オーボエ奏者に聞かれる。

「緊張しますが、いつも通り演奏するだけです」
私の言葉に、皆うなうずいていた。
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