御曹司は恋の音色にとらわれる
パーティの中盤、私達が演奏に呼ばれる。

「行きましょう」

「はい」

ヴァイオリンを持って、会場に入る。

司会の人の案内で、1人づつ名前が呼ばれ、紹介された。

拓を見つけ、何も知らない拓は、驚きに目を見開いていたが、
素知らぬふりをして、会場の人に礼をする。

拍手の後、演奏者はポジションに付き、
人によっては椅子に座る。

ベートーヴェン ロマンス第2番

拓が私に声をかけてくれた晩、最初に弾いていた曲だが、編成が違う。
独奏ヴァイオリン、フルートが1人、オーボエが2人、
ファゴットが2人、そしてホルン。

ピアノとヴァイオリンだけとはまた違う音の響き。
< 79 / 102 >

この作品をシェア

pagetop