御曹司は恋の音色にとらわれる
関越自動車道、上信越自動車を使い碓氷軽井沢ICへ、
2時間半のドライブは、ぽつぽつと話しつつ、
後は黙って、車から流れる景色を楽しんだ。

軽井沢に着いたのは、もう少しで日付が変わる頃だった。

別荘は完全な洋館で、取っ手からして高級感が溢れており、
一歩足を踏み入れると、木の香りが漂う。

拓がライトをつけると、「わあっ」と自然に声がもれた。
まず目の前には螺旋階段。

そして、左の戸を開けると、ダイニングが広がっている。

ダイニングテーブルも洋風で、小さな模様が入ったカーテンは、
それだけで、もう日本ではないようだった。

「お酒飲んで、乾杯しよう」

拓はそう言って、どこからかシャンパンを持って来て、
ポンと音を立て、コルクを抜く。

「最高に贅沢」

グラスの中の泡をみながら、ついつい呟いてしまう。
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