キスすらできない。
端から勝ち目のないルールを先手を打つように告げれば、当然射的の暗黙のルールは皆が把握しているもので。
「ええ~、無理じゃんそれぇ」
「おねーさん狡いね~」
なんて、笑い飛ばしながらまだ食いついて来るナンパ男達にはますます冷めて苛立ちまで募る。
こんなあからさまに嫌悪してる態度を出してるのに。
ってか、男三人に私一人って人数的にもどうなんだよ?
ついて行ったオチなんて酒飲まされて姦されるだけなんじゃないの?
なんて、あり得なくもない予想を頭にはぁっと溜め息を吐き出してしまう。
そんな私なんてお構いなしにまだ3人組は去ろうとしないし。
なんならおいちゃんも無責任に「よっ、モテモテだねぇ」なんて茶化して煽ってくるし。
あーもう……面倒くさ……
「っ!!!?」
もういっそ走って逃げようか?なんて、頭を抱えたタイミング。
帯びの位置にパチンと走った衝撃には流石に驚愕で顔を上げてしまった。
そうして捉えるのはナンパ男3人の姿とその隙間を縫った背後に、
「……何してるの、ピヨちゃん」
「っ……いや、先生が何してるんですか?」
だって今……狙撃しましたよね?
腹を狙撃したの先生ですよね?
その手の銃で狙撃しましたよね?
ってか、いつの間に戻っていつのタイミングからこの状況下に混ざっていたのか。