キスすらできない。
物静かだと思った微笑みが今になって残酷だと感じる程。
これでもかと魅了して煽りにくるくせに手を伸ばす事を良しとしない。
赦さない。
彼女の恨みつらみと愛情が一緒くたに詰められた様な罰の宣告。
でも、それは……、
「………ピヨちゃんが求めてきても?」
「求めてきてもです。それは同時に私に罰を科せることになるでしょう?先生も私も同時に苦しんで……苦しいと感じる程に両想いで。……私達に相応しい罰だと思いませんか?」
これを罰とするのであればどれほど歯がゆくもどかしく相応しいものであるのか。
お互いの情を理解して想いあっているのに触れ合えず求め合えず。
隣に在る程苦しいと感じる罰。
好きであればあるほど近くて遠く、遠くて近い。
それをこんな綺麗に艶やかに微笑んで言ってくるなんて……、
「酷い……女…」
「じゃあ、酷い先生には……お似合いですね」
「……日陽、」
「………『ピヨちゃん』ですよ」
「………」
「私を……女に出来ない苦しみに悶えながら愛してください」
一周回った呪いは更に濃くて更に歪んでる。
なのに受け入れてしまうのは……。
彼女が欲しいから。
表面だけでも自分の物だと……今度こそ…。