キスすらできない。


確かめたくとも浴びる程飲んだアルコールからの睡魔は強烈で、僅かにも目蓋を開けることすら叶わず…、ズルズル、ズルズル…。


じゃあ、せめて…。


せめて……夢の中でだけでも先生に会いたい。


ねえ、先生…。








「……頑張ってきたんだね、ピヨちゃん」

「っ……そう…思ってくれますか?」

「うん。だって…変わらず、頑張り過ぎた顔して…」

「………」

「疲れたね、」

「っ…ん、…ちょっと、疲れたの。ちょっとだけ。…すぐに…弱音はやめるから、迷惑はかけないから、…だから、少し…先生の傍で休ませてください」

「………いいよ。でも……少しじゃなくてさ_」




ああ、虚ろ。

それでも、先生の傍に居て話してる。

なんて良い夢。

覚めたら終わる甘さにしろ今の自分にはなんて贅沢な夢。

だって、現実なら傍に居て良いなんて言う筈ない。

だって、先生は私が中学の時に他の素敵な女性の旦那さまになったのだから。





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