想い花をキミに
「どうした?」

モーニングコーヒーを飲んでいた彼はくっついてきた私を引き寄せるようにし、
私の髪をなでながら優しい声を出す。

あ、この感じ好きかも。

そんなことを思いながらも、「あの人がまた隼太に会えなくするぞって言うの……私どうしたらいいか分かんないよ。」と正直に打ち明けた。

私の話を聞いた彼は、

「そっか。また警察とかに連絡されたら厄介だよな。」

うーんと腕を組んで考え込む。
どうしてあの人は隼太と付き合うことをこんなに反対するんだろう。
私にはその理由が全く分からない。

その時ふと、私はあることを思い出して彼に聞いてみることにした。

「ねえ、隼太ってあの人にどこかで会ったことあるの?」

私の質問に彼は眉間にしわを寄せながら、

「ないと思うけどな。亜砂果んちに行った時も声を聞いただけだったしな。」

「そうだよね。」

それならあの人は、どこかで私と隼太が一緒にいるところを見たのかもしれない。
でも偶然見かけただけにしては隼太のことをよく知っているような口ぶりだった。
そこもどことなく引っかかるんだよね。

「どうかした?」

「あ、ううん。なんでもないよ。」

急に黙り込んだ私に隼太が心配そうな顔をする。
ハッと顔を上げた私は、なんでもないよという風に彼に笑顔を向けた。
きっと私の考えすぎだよね。
そう思い込もうとしても、この胸に引っかかる嫌なもやもや感を拭い去ることはできなかった。

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