想い花をキミに
何も聞いて来ない。それが彼の優しさだったのかな。

それからすぐに彼は立ち上がると、

「何か飲むか。コーヒー?ココア?ミルクティー?」

「あ、ミルクティーがいい...です。」

甘くて熱々のミルクティーを淹れてくれた。
カップを無言で差し出す彼に、「ありがとう」と伝えると、簡単に「ん。」って返されたけど、本当はすごく優しい人なんだなって思うの。

見ず知らずの私を連れてきて怪我の手当てまでしてくれて、本当に感謝してるけど、それと同時にせっかくの自由になれるチャンスを失ったことにがっかりしているようなホッとしているような自分もいた。

「おいしいね。」

そんな複雑な気持ちを隠すようにミルクティーをすすった。

ミルクティーをすすりながらも一生懸命その熱を取り除こうとカップの中に息を吹きかける私を見て、「そりゃあ、俺がいれたからな。」と急に得意げになる彼に、可笑しさがこみ上げた。

「ふふ。何それ。」

そんな冗談にも笑顔がこぼれる。

おいしい。こんなに身に染みるようなおいしさを感じられるミルクティーを、私はこれまで飲んだことがないと思った。

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