想い花をキミに
私があの人の行動の理由を知ったのは、それからしばらくしてから。


憂鬱な気持ちになりながらも自宅に戻った私は、いつものようにあの人と顔を会わせないように急いで部屋に入った。

この狭い部屋の中に閉じこもっていると、また自分は1人なんじゃないかっていうとてつもない孤独感に襲われる。

まただ。

この何とも言えない無力感と自分なんか生きてない方がいいっていう自責の感情が心の奥底からこみ上げてくる感じ。
この家にいると幸せな未来なんて想像できないよ。
必死に隼太との思い出を浮かべようとしてもうまくいかなくて、私はその場にうずくまった。

「はやたぁ……」

彼の名前をつぶやいてみても、返事なんてあるわけないのに何度も何度も呼んでみた。

その時、

"ガンガン"

私の部屋のドアを外側から力強くたたく音がした。

「な、に？」

叩いてるのは紛れもないあの人なんだろうけど。
私はドアが開かないように扉の前に置かれた箪笥を身体全体で押さえた。
私の動きをドア越しに察知したのか、

「なんだ、いるんじゃないか。あんた最近物音一つしないから死んでるのかと思ったよ。」

そう言うあの人は、私の生存を確認しに来ただけだったみたいで、すぐにドアの前から足音が遠のいていくのが分かった。
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