想い花をキミに
大きな花束を抱え、私の足は隼太のところへと向かっていた。
テーブルの上に飾ろうかな。隼太にも早くこの花を見せてあげたい。
きっと笑顔になれるはずだから。
隼太の笑った顔を想像しては一人嬉しくなり、早歩きで彼の家へと急いだ。

「隼太?今日ね、いいもの貰ったの。」

中に入ると彼はソファーに腰かけて天井を見上げていた。

「見て見て。これ分かる?これね──、」

よく見えるようにと彼の目の前に花束を差し出す。すると、

「ダイヤモンドリリーか。」

私が教えるより早く彼がそう言ったの。

「知ってたの?」

隼太が花の名前を知っていたことに驚く私。

「また会える日を楽しみに、だろ?」

花言葉までスラスラ答えだす。だけどその顔はなんだか悲しそうで、

「そうだよ。正解!……だけど、どうしてそんなに泣きそうな顔してるの?」

この花を見ても隼太は笑顔にならなかった。
むしろちょっと目が赤い感じで、今にも泣きだしそうに見える。
ゆっくり視線を花束から私に向けた彼は、

「昔俺があげたこと、覚えてない?」

と言ったの。

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