想い花をキミに

隼太は経営のために他の女の人と結婚する、それは彼の意思では変えられない事実。
そう分かってはいるけれど、簡単には受け入れることなんてできなくて、都合のいい考えばかり浮かんできてしまうの。

病院の跡取りだから隼太は別の人と結婚するの?
そうなったら一体私はどうなるの?
隼太と別れるなんて考えられないし絶対に嫌だ。

この前の先輩とのことだって、隼太を失うかもしれないって思ってすごくすごく怖くて仕方なかったんだから。
あんな思いはもう二度としたくないって思ったもん。
別れるくらいならいっそ生きていない方がいい。
一度死を意識した私にとっては、死ぬことよりも彼を失う方がずっと怖いの。

不安で今にも泣きだしそうな表情をしている私に目を向けると、彼もまた悲しそうな顔で、「親父はどんなことをしてでも経営のために俺を結婚させるんだろうな。」とつぶやいた。

そして私を真っ直ぐに見つめながら、

「亜砂果の家にも親父の部下の人が行ったって聞いた。」

と申し訳なさそうに話した。

「私の家にも?」

ということは対応したのは他でもないあの人で──

「どんな話をしたかまでは分からないけど、俺とは別れるように交渉したんだと思う。」

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