想い花をキミに
こうして寄り添っているだけで分かる。
離れたくないって気持ちは同じなんだって。

だけどこうしているだけじゃいつか終わりが来るってことも分かってるから、何とかしようと思っても、まだ17歳の私には何の力もない。

「私たち、これからどうなるの?」

弱気な言葉がこぼれ落ちる。

「どうもならねーよ。俺は絶対に別れないから。だから亜砂果も俺を信じて。」

彼の言葉を信じたい。だけどこの胸にうずまく不安は簡単には消えてくれない。
隼太がいくら別れないと言ったところで、私たちだけの問題じゃないんだから。

後継者ってことは、いつか隼太が病院長の座に就くことになるわけで……その下で働く医師たちにも家庭がある。病院に入院している患者さんだっているんだから。そんな人たちをこれからまとめていく重要な立場にある人を、私みたいな何の取り柄もないやつが独占していいはずがない。

別れたくない、だけどこのままそばにいていいわけない……

私の心は大きく揺れ初めていた。


「とりあえず、亜砂果は何にも心配しなくていいから。今まで通り俺のそばにいてくれればいいから。」

隼太はそう言ったけど、知ってしまった以上は私も関係ない振りはできない。
私は私にできることをしよう、そう思ってその日から私は家事を頑張るようになった。

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