想い花をキミに
そのまま私の頭に触れながら、彼が尋ねてきた。

「何かないのか。やりたいこととかしたいこととかさ。」

「……。」

「何かあるだろ。まだ若いのに何もないとかおかしいだろーが。」

「……。」

何も答えない私に、彼が次々言葉を並べる。

「甘いものをおなかいっぱい食べたいとかデートしたいとかカラオケで騒ぎたいとか、なんかあるだろ。まじで何もねーの?そんな悲しい10代がいるかよ。ほら例えばさ、───」

「痛い。」


ボソッと呟かれたその一言で、話しながら私の頭をブンブン揺さぶっていた彼の手がパっと離れる。
それと同時に私は、俯いていた視線を彼の方へと戻した。

きれいごとばかり並べる彼に、なんだか言い返したい気分になってきたから、

「やりたいことはたくさんあるよ。でも生きていることの方がつらいの。あなたにはきっと分からない……私の苦しみは分からない。この先生きていたっていいことなんて一つもないよ……私はあなたみたいに前向きになんて考えられないしそんなに強い人間でもない……だから死のうとしたんじゃない!私は一人じゃ生きられない弱い人間なの……」

気が付くと私は、一気にまくし立てていた。
そのせいで息が上がる。

彼は突然逆切れみたいに話しだした私に唖然とした感じで聞いていたけれど、
次には、ふっと軽く微笑むと再び私の頭に手を乗せ、ポンポンと撫ではじめた

今度は優しくそっと触れるように。

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