想い花をキミに
家の中は暖房もついていないのに暖かくて、外の寒さを一瞬で忘れさせてくれた。

「帰ってきたのはいいけど、早く家に帰らないとな。」と隼太が言うから、

私はすっかり常温になってしまった野菜やお惣菜を冷蔵庫へしまいながら、「今日はあの人も家にいないから大丈夫。」と答えると、「そっか。」と安心した声が返ってくる。

黙々と冷蔵庫の中へ物をつめていく私の背後から不意に隼太が腕を回し私を抱きしめると、

「何かあった？」

と聞いてきた。
無意識に隼太と目を合わせないようにしていたから、おかしいって気づかれたのかもしれない。

「ないよ？」

平然を装って答えるけど、ちょっと声が上ずってしまった。

「ほんとに？」

再び尋ねてくる彼に同じように返すと、「ならいい」と言ってあっさり離れていった。
だけどリビングへ戻るで途中で振り向いた彼に、「悩みがあるならちゃんと言えよ」って笑いながら言われた時、私の胸がチクっと痛んだ。

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