想い花をキミに
小刻みに震える身体、揺らぎそうになる心を必死で抑えながら、隼太の身体を押し返す。
そしてその目を真っすぐに見つめ、

「もう会わない。」

きっぱりと告げた。
隼太の目がさっきより赤くなっている。
私は一歩後ずさって距離をとった。

もうやめたい。これ以上傷つけたくない。

「隼太に会うのが嫌なの。」

私を止めて。

「隼太のことなんて全然好きじゃないから。」

すごくすごく好きだよ。

「──だから、もう終わりにしよう。」

その言葉で全て終わった音がした。
隼太との思い出も幸せだった気持ちも、全部自分で壊した。

「亜砂果......俺、」

今にも泣きだしそうな隼太の顔をもう見ていられなかった。
このままじゃ私も耐えられない。

「じゃあ、私帰るね。」

そういって隼太の横を通り過ぎようとした私の腕を彼が掴んだ。

「待って。」

私を引き留めるにはあまりにも弱い力だった。
そして震える声で、「行かないでくれ。」と一点を見つめたまま彼が言う。

「離して。」

私はその手をそっと自分から離した。
だけど彼は諦めが悪くまた私の手を掴みなおすから、

「離してよ!」

強引に振り払ってしまった。

その手がたまたま棚の上に置いてあったお揃いのコップにぶつかり、床に落ちて粉々に割れた。

「あ……」

粉々に砕け散ったのは隼太のコップだった。

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