想い花をキミに
第4章

love stage17. ダイヤモンドリリーが咲く頃

高校を卒業して2年半が過ぎようとしていた。
隼太の卒業式から一年、私は毎日勉強して念願だった県外の看護師養成専門学校へ進学した。

怒り狂ったあの人の反対を強引に押し切って家も出た。

そして今は下宿先のアパートで暮らしている。
5畳しかない部屋はちょっと窮屈だけど、あの人がいる家に比べたら全然いい。
看護師を目指すために勉強しながら、毎日アルバイトを掛け持ちして生活費や学費をまかなう日々。

そんな学生生活も残すところあと半年。

忙しい毎日だったけど、考える余裕もないくらいの方が私にとっては好都合。
でないとふとした瞬間に彼の事を思い出して悲しみの衝動に駆られてしまうから。

幸い下宿の家賃は食事付きで月2万と安く、親切な管理人のあばちゃんが可愛がってくれるからなんとかやっていけているし、食事も飲食店でのバイトではまかないが出るからすごく助かっている。

高校の時にやっていた本屋でのバイトも縁があって、店長のはからいで知り合いの本屋を紹介してもらった。本屋でのバイト経験があるためか、新しい場所でもすんなり仕事を覚えることができて、バイト当初からチームリーダーなんかも任されるようになって一層頑張らなきゃと気合が入る思いだ。

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