想い花をキミに
気が付くと目の前には白い天井が広がっていて、左手には点滴が入っていた。
すぐにここが病院だということは分かった。

「あれ、私どうして。」

「気が付きましたか?」

近くにいた看護師が笑顔で寄ってくる。

「道端で倒れていたんですよ。」

「そうなんですか。」

「最近寝不足でした?あまり無理しすぎないで下さいね。」

そういうと看護師は私の血圧や体温やらを測ると、「問題ないですね。」とニッコリ笑った。
看護師を目指しているくせに、自分の体調管理もできないなんて恥ずかしいけど、「はい、すみませんでした。」と謝った。

「先生。患者さんが目を覚まされました。バイタルは問題ありません。診察よろしくお願いします。」

その看護師が声をかけると一人の医者が私の前に来た。

「体調はどうですか。」
来たのは50代くらいの男性医師で穏やかな口調で私にそう尋ねた。

「あ、元気です。ちょっと寝たらすっきりしました。」

「睡眠不足でしょうね。今は寒くなってきてますし、睡眠はしっかりとりましょうね。」

「はい。気を付けます。」

「点滴終わったら帰ってもいいよ。」と医師は看護師に伝えると立ち去った。

「良かったですね。これからは睡眠しっかりとりましょうね。」

と笑いかける看護師を横目に私は、隼太もあんな風な医者になるのかなとなんとなく想像していたの。
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