想い花をキミに
「お、また会ったな。」

だけど偶然って本当に意図していない時に起こるものなんだね。
だから偶然っていうんだろうけど──

私は今絶賛バイト中。今日は飲食店のアルバイトで深夜勤務だから今の時刻は22時過ぎ。

夜中に食事する人もそんなにいないこの時間帯に自動ドアが開いてお客さんの来店を知らせるチャイムが鳴ったから、急いで私は「いらっしゃいませ」と声をかけて席へ案内しようと思ったんだけど、そこに立っている人の姿を見てつい「えっ！！」と叫んでしまった。

爽やかな笑顔を浮かべて立っていたのは他でもない、私が一番会いたいと思っていた彼。

片手を胸のあたりで挙げて「頑張ってるな」って声をかけてくる彼に、驚きすぎた私はつい「何でここにいるの？！」って言ってしまった。

「何でって──、ふっ驚きすぎ」

私の動きがあまりにも挙動不審すぎたせいか、彼がふき出した。

「えっ、えっ、？」

「何でって、食事しに来たんだよ。今病院の会議終わったから。」

医学部での勉強と病院経営を学んで両立している彼はとても忙しいみたい。

「今終わったんだ。お疲れ様です」

「そう。だからすごく腹減ってるの。座ってい？」

「あ、ああ！ごめんなさい！こちらへどうぞ」

お腹のあたりをさすってアピールする彼に、私は大慌てで席へ案内した。

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