想い花をキミに
おかげで全然仕事に身が入らなくて、水はこぼすしお手拭きは床にばらまくしで散々。
それでいて肝心の隼太は、食べ終わるとあっさり帰っちゃうから余計に悲しくなる。

意識してるのは私だけなの?
隼太の今の気持ちを知りたい、そう思っている自分がいた。

それから、私が深夜のシフトの時には時々隼太が来るようになった。
最初は「え、また?」なんて思ってたけど、最近は進んで店長に「深夜メインで入れて下さい!」って頼むようになっていたの。
もちろん体力的にはきついし、そのせいで授業で眠りそうになることもしょっちゅうだったけど、隼太に会えると思ったら頑張れた。

「今日も頑張りますか。」

授業を終えた私は、急ぎ足でバイトへ向かった。
今日は深夜っていってもいつもより早くあがれる予定だから、もし隼太が来るなら一緒に帰れないかな、なんて事を考えるくらい図々しい女になっていた。

「いらっしゃいませ!」

「よっ。」

予想通り今日も隼太はやってきて、いつもの席に座った。

「いらっしゃいませ。今日はどうしますか?」

「んー、じゃあ亜砂果のおすすめで」

「かしこまりました。」

ニッコリ笑った私は、厨房へ「オムライス一つ」と伝えると、すぐに隼太の所へ戻った。
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