想い花をキミに
「すみません。ちょっと集中力が欠けてしまうことがありまして。」

「そうだとしても、もっとしっかりしなさい。今頑張らないと後で後悔することになりますよ。」

「はぁ……」

長々とした小言を聞かされ、ぐったりした私はその足で飲食店と本屋の店長の元へと向かっていた。

「こうこう、こういうわけがありまして、はい。」とそれぞれの店長に同じ事情を話した上でシフトの調整をしてもらい、本屋の方は今月いっぱいで辞めることにした。

飲食店の方は、週に一回でもいいからということで、下宿代も払わなければいけなかったから勉強の息抜きがてらに続けることにした。
どちらの店長も「亜砂果ちゃんがいてくれて本当に良かった。」と言ってくれたから、看護師になれなかったらここで永久に雇ってもらおうなんても思った。

全ての用事を済ませると、私はまた「はあ、」と深いため息をつきながら家路についた。

正直ショックだ。

この時期に成績が落ちたこともそうだし、彼のことで悩んで何も手につかなくなる自分が情けなかった。
隼太は私の事なんてこれっぽっちも意識してない感じなのに、私ばっかりひとりでヤキモキしてる感じ。

隼太の気持ちが知りたい。
その想いばかりが、どんどん膨らんでいくだけ。

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