想い花をキミに
「なんとなく、あなたは大丈夫な気がしたんです。本当になんとなく、ですけど。」

と素直に答えたら、彼がまた笑いだして、

「やっぱり変なやつ。」

ってまた言われた。それから、安心したように、

「ほら、やりたいことあるじゃん。”男の子と出会いたい”っていう立派な目的が。」

と言って私の方を見てくるから、「そんな不純な理由じゃ嫌です。」って返したら、「不純でも生きる理由には十分だよ」って彼が言うから、不思議とそっか、と納得した。

彼の言葉はどうしてだか私の胸に響いてきて、すんなり受け入れられるの。

まるで彼の生き方に惹かれてるみたいに。


「あとその固い話し方やめろよ。もっと楽にしていいよ。それから、あなた、じゃなくて隼太って呼んでいいから。みんなそう呼んでるし。」

その言葉もすんなり受け入れられる。

「あ、はい……えっと、うん。分かった。」

「そうそう、その調子」

と隼太は満足そうに笑った。


それからいろいろ言葉を交わしたけど、その途中で彼が急に、

「なあ、ちょっと笑ってみてくれないか?」

なんて言うからぎこちなく笑顔を作ったら「やっぱ違う。」と素っ気なく返されたのには少しムカついた。

笑えっていったくせに……。優しいけどちょっと性格は悪いかもなんて思えてきた。

そして気が付くと私は、眠りの世界へ落ちていた。
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