想い花をキミに
そして、しばらく他愛もない話をしてから「またね。」と言って電話を切った。

「またね、か」

もう会わないと言って別れた私たちに、またねと言い合える日がくるなんて不思議だな。
通話が切れた携帯電話を眺めながら、さっきまでのやり取りを思い出して何度でもその幸せを味わいたいと思った。

そして目を閉じて枕に顔をうずめながら思うの。
私はやっぱり隼太が好きなんだって。

別れてからも忘れたことはなかったし、ふとした時に考えるのはいつも隼太のことだけだったから。

新しい服を買っても、「隼太の好みっぽいな」って思うし、ナチュラルなメイクを心がけるのも隼太の影響。

私の生きる基準はいつだって彼が中心なの。

無意識にでも自分がそう生きてきたことを改めて実感し、それと同時に好きだという想いが強くなる。
せっかく再会できたんだから、もう後悔したくはないの。
祝福されない結末だとしても、私は隼太を選びたい。
離れることの方がずっとずっと辛いってことを実感した今だから言えること。

私は隼太が好きなんだ。
やっと素直に認められた。
隼太も、私と同じ気持ちでいてくれるといいな。

そう願いながら、彼の声が聞こえてきそうな携帯電話を握りしめて小さくうずくまった。








< 170 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop