想い花をキミに
「ばれちゃいました?」
おどけたように軽く笑って返す私におばちゃんは、

「それはバレバレさ。お前さん、さっきから全然食事も進んでないからね。」
と言った。

「あ、」

私の前にはほとんど手をつけていないご飯やおかずが並んでいる。
気まずそうに視線を泳がせた私を見て、

「若い時だけだよ、そうやって悩んでご飯が喉を通らなくなるのは。私みたいな年になってみな。どんなに凹んでても三度の飯くらいは余裕で平らげちまうからね。ははは。」

と豪快に笑うおばちゃんだったけど、そのあとには、

「心配しないでしっかりお食べ。人生上手くいってないかどうかなんてまだ分からないじゃないの。今が辛いのは上手くいくための負荷みたいなもんさ。だから今を乗り越えるためにはしっかり食べて力をつけておかないとね。さ、お食べ。」

って優しい言葉をくれた。
いつだっておばちゃんは私に優しい。
その明るさに、この二年半支えられてきたんだ。
「はい。」と答えて私は無理やり胃にご飯を詰め込んだ。

それから、くよくよしてても仕方ないと思った私は真っ直ぐ図書館へ向かい、2月に迫る看護師国家試験に向けて勉強を始めることにした。

おばちゃんの言う通り、今はうまくいくための負荷をかける時なのかもしれない。
だとしたら、今はどう足掻いたとしてももうまくいかないんだろうから、深く考えずに、私が今やらなきゃいけないことをやった方がいい。
私が今できることは勉強しかないから、それを頑張ろうと思った。

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