想い花をキミに
「だってこれが一番おいしいんだもん。」

一番上に乗せられた栗が高級感を漂わせている。

「高校の時からケーキって言うと、"モンブラン食べたい"ってそればっかだったもんな。」

可笑しそうに隼太が目を細める。

「たまたまだよ!今日はなんか栗の上に金箔が乗ってて一番豪華に見えたからつい買っちゃっただけだもん。」

全力で否定しながらも、変わっていない自分がいることを嬉しく思っていた。

散々笑い合ってから、私たちはケーキを食べさせ合い、クリスマスを祝った。
途中で彼が思い出したように上着のポケットから何かを取り出して「これ」と私の手に乗せてくれた。

「何?」

ポケットに入っていたせいか少しだけ皺になったラッピングが施された正方形の小さな箱。
中身は多分指輪かなってすぐに分かったけど、

「え、どうして?」

とあまりの準備の良さに驚く私に、

「本当は3年前のクリスマスの日に渡そうと思って買ったやつなんだ。」

と彼は言った。

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