想い花をキミに
「そのお守りみたいに頭ん中も真っ白にするなよ。」って彼がいじわる言うから、「しないよ」って睨んでやった。
本当は緊張してがちがちになってたけど、ちょっとリラックスできたのは秘密。

ありがとう隼太。

帰り際に、「あとこれもな」と言って私の好きなチョコレートと一瞬触れるだけのキスをくれた。
チョコは嬉しいけど、キスは物足りないよって思った。けど、試験が終わったらいっぱいしてもらおうって思って我慢した。


そしてあっという間に試験当日を迎え、隼太がくれたお守りをポケットに入れて勇気をもらいながら無事に試験を終えた。

「ん~、まあ合格かな」

速報で発表された解答と問題用紙を照らし合わせて自己採点を済ませた私は、大きく伸びをしながら隣にいる隼太にもたれかかった。

試験会場を後にした私がその足で真っ直ぐ向かったのは彼の家。

もうあんなに張り詰めた気持ちで勉強しなくてもいいんだと思うと、嬉しくて仕方ない。
それに手ごたえもあったし。

玄関の扉が開くと同時に「終わった!」と飛びついた私を「お疲れさま」って迎えてくれた隼太は、そのまま私を抱きかかえてソファまで運んでくれたの。

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