想い花をキミに
「え?弁護士さん?どうして……?」

予想外の人の登場に、頭の中が疑問でいっぱいになる。

「まずは座ってお話ししましょう。」

と遠野と名乗った弁護士さんに促されて椅子に腰を下ろした私は、どういうこと?という目で隼太を見つめた。

そんな私に彼は、

「言っただろ?亜砂果の人生が大きく変わることになるって。」

「でもそれって隼太と一緒になるってことじゃないの?」

「それもあるけど、今のままじゃ亜砂果は心から幸せになることなんてできないだろ?」

「それってどういう……?」

状況を理解できずに困惑する私を見て、弁護士さんが

「私があなたの生きる権利をお守りします。」

って言ったの。

初めて生で見る本物の弁護士さんの登場だけでも驚いているのに、私の生きる権利を守るって、え?
視線を泳がせて動揺しまくりの私に、隼太が大丈夫だというかのように私の手に自分の手を重ねて、

「これから俺が言うことをしっかり聞いてほしい。聞き終わってから、亜砂果がどうしたいか考えてくれればいいから。」

と言ってくれたの。

隼太が私に語った”私の人生が変わること”って──、

目の前にあるミルクティーをぐいっと飲み干すと、空になったカップを置いた私は「どうぞ」と声をかけて、彼の口から語られる言葉に意識を集中させた。


彼の言葉に耳を傾けているうちに、自然と私の目が大きく見開かれ、そして気が付いたら机に突っ伏して泣いていた。


そんな私の背中を優しくさすって隼太が何度も言うの。「決めるのは亜砂果次第だから」と。





































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