想い花をキミに
そしていよいよ明日に迫った隼太の就任披露宴。

不安と緊張でそわそわ落ち着かない私に彼が、「ちょっと見せたいものがある」と言い出だした。
何だろうと思っていその場で待っていると、隼太は手に一着のドレスを持って戻ってきた。

「これ、明日の披露宴で着てくれないか。亜砂果に似合うと思って選んだんだ。」

彼が差し出してきたそれは、美しいドレスだった。

白と黒を基調にしたそのドレスは、背中が少し広めに開いているけどとても上品で、かといって背伸びし過ぎない感じの大人っぽさが今の私に合っていると思った。

「亜砂果は派手に着飾らなくても十分素敵だからさ、少しだけ大人っぽい感じのを選んでみた。まあほとんど俺の好みなんだけど、どうかな。」

照れた様子で私の表情を伺う彼。
隼太はいつだって私を幸せな気持ちにしてくれる。
今だってほら、私の好みど真ん中だし、そのことが私をよく見てくれているんだってことを証明してるもん。

さっきまでの不安が嘘のように消えている。

この素晴らしいドレスを身につけたら、きっと私が恐れるものは何もなくなる、そう思わせてくれるかの様なドレスだった。

感動して言葉を出せない代わりに、私は精一杯の笑顔を向けた。

「気に入ってもらえたなら、良かった。」

と満足そうな彼の前で、私はうっとりとそのドレスを眺めていた。


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