想い花をキミに
「そうね、きちんと手続きを踏んで結納だってしてもらわなくちゃ。もちろん、この子の母親変わりである私に正式に挨拶もしてもらわないね。そうでないと結婚は認められないわ。」

ずる賢く何かを企んでいるような口調であの女が言う。

ほんと、どこまでずるいの。

今まで母親らしいこと一つもしてこなかったくせにこんな時だけ。

「要はお金、ということでしょうか。」

「結婚するならそれも必要よね。母親の私にはそれなりの額を払ってもらわなくちゃ。今までこの子を育ててきたんだもの。」

「母親、ですか。」

「そうよ。何か文句ある?」

強気なあの人に対し、隼太はふっと笑うと、

「あなたはもう彼女の母親ではありません。」

とはっきり告げた。
その一言であの人は眉をひそめ、声を荒げだした。

「は?何言ってんのよ。私は母親なのよ!!」

「いいえ。今この時から、あなたはもう母親ではありません。これがその証拠です」

と、取り乱したあの人に対して今度は隼太が強気に出る番。

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