想い花をキミに
そう言うと同時に隼太は胸元から一枚の用紙を取り出し、それをあの人にも見えるように広げて見せた。
彼が見せたのは、親権者変更に関する書類だった。

「既に裁判所で承認ももらっています。あなたはもう彼女の母親を名乗れないということを、どうぞご理解ください。」

突然告げられた事実に動揺し、あの人は顔を赤らめながら騒ぎ出す。

ワナワナと体を震わせて今にも掴みかかりそうな勢いだ。

「ふざけんじゃないわよ。勝手に何してんのよ。こんなの認められないわ。訴えてやるから覚悟しなさい。」

だけど私の愛しい救世主は余裕の笑みまで浮かべ、「訴えるのはご自由にどうぞ。」と言った。

「今回この親権者変更が認められた理由を教えましょうか。理由は大きく分けて三つ、一つ目はあなたが彼女に与えた暴力による身体的、精神的苦痛、いわゆる虐待です。そして二つ目はあなたがこれまで母親らしいことを一つも彼女にしてこなかったということ。彼女に手料理をふるまったことはありますか?ないですよね。あるはずがない。それは育児放棄と言うんですよ。そして三つめは、彼女自身が親権者の変更を強く臨んだことです。親権者変更を申し立てるのには十分すぎるくらいの理由が揃っています。いかがでしょう。彼女の母親だと名乗るのは、あなた自身の今までの行動をよく思い出してからおっしゃってください。それでも訴えるというのであれば受けて立ちましょう。ですが、あなたが負けをみるのは明らかですよ。」
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