想い花をキミに
隼太の堂々とした姿に、涙がこぼれた。
ありがとう。本当にありがとう。
出会ってから今日まで、たくさん救われてきた。

今日という日を、隼太の勇敢な姿を、私は一生忘れないだろう。


黙って聞いていたあの人はそれでも引き下がらなくて、

「私から親権を奪って、いったいこの子を誰が育てるというの?まだ未成年で社会にも出たことないっていうのに、一人で生きていけるわけないじゃない!」

怒りで声が震え上ずっている。

「亜砂果ちゃんのことは私が責任をもって引き取ります。」

突然、会場に優しい声が響いた。

「おばさん?」

それは隼太の知り合いの女医のおばさんだった。

「あなた......確か──」

「そうです。私は亜砂果ちゃんの母親の妹です。」と告げた。

嘘、私のおばさん??

「黙っていてごめんね。」とおばさんは私の方を向いて頭を下げた。

「私はあなたのおばです。今まで黙っていて本当にごめんなさい。だけど名乗り出る勇気がなかったの。15年前、あなたがまだ2歳だった時にご両親が亡くなって、私はまだ20代半ばであなたを引き取って育てる自信がなかったの。この方は同じ20代でも私とは違って、お金目当てだったかもしれないけどあなたを率先して引き取ると言ったわ。とても心配だったけれど、やっぱり辛い思いをしていたと知って私が引き取るべきだったと後悔したわ。だから今更遅いかもしれないけど、ここから私と新しい生活を始めましょう。辛い思いをさせて本当に本当にごめんなさい。」

おばさんは泣いていた。

私も涙がこぼれた。


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