想い花をキミに
「ねえはっくん!大好きだよ。はっくん!」

とふざける私の額をコツンと叩くと、「やめろって言ってんだろ。」とわざとらしく怒ったような感じを出すけど、その口調はとても優しい。

「はぁい。」と反省した素振りを見せながらも隼太が隣にいる嬉しさを抑えきれなくて、また笑顔になる。

「笑いすぎ。」って言って呆れてる隼太の顔も緩んでるけどね。

「色んなことがあったね、私たち。」

「そうだな。」

死のうと思った日に隼太に出逢い、想いが通じ合ったのに、生きる世界が違うと知り、別れる道を選んでしまった。
一緒に生きる道を探す努力もろくにしないままに。

無理やり忘れようとしてみたけど、どうしてもあの日の決断を後悔する気持ちが消せなくて、格好悪くても、どんなに傷ついたとしても、もう一度彼の手を掴みたいと思ったの。

これで良かった。私の選択は間違いなんかじゃないって今なら思える。

あの時一度別れていなければ、こんなに強い気持ちでこの現実に向き合うことはできていなかったかもしれない。
いつも不安に駆られてどうしようもなかったかもしれない。

きっと私たちが別れた時間にも、意味があったんだよね。

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