想い花をキミに
「ん。その顔だ」と満足そうに隼太も笑い、私を抱きしめ返してくれた。

どうしてこんなに好きだと思えるんだろう。

いつかこの胸のときめきがなくなったとしても、私はそれはそれでもいいと思った。
恋をして経験するような胸の高鳴りなんて、そう長くは続かないもの。
その代わり、どんなことがあっても離れないという確かな愛に変わるから。

恋という不安定な感情からいつしか相手を想い、慈しみ、どんな時も信じ抜けるような強い信頼が生まれる、それこそが愛だと思うから。
いつか私たちのこの気持ちもそんな愛に変わっていくはず。
今こうしている瞬間にも、愛は生まれているんだから。

だからそれまでは、私はこの想いを大切にしていきたいと思う。

隼太は「俺はもう亜砂果のこと愛してるから。」なんて簡単に言うけど、私たちはまだ愛を知らないよね?
きっと素晴らしいもののはず。
これからの時間を一緒に過ごして、その中で愛を築いていこう。

泣いたり笑ったりと忙しいこの気持ちも、いつか私たちだけのかけがえにない愛に変わるはずだから。
いつかこの恋心が愛に変わることを信じて。
その時まで、私は隼太にずっとこの想いを届けていくよ。


いつまでも笑っている私を見て「笑いすぎ」と照れたように隼太が目を細めるから、私は目を閉じて彼がそっと私に顔を近づけるのを待つの。
右手には彼がくれたダイヤモンドリリーをしっかりと握りしめ、もう二度と離しはしないって誓いながら。






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