想い花をキミに
「亜砂果？」

「大丈夫。食べ終わったらすぐに帰るからね。」

と、無理に笑顔を作って答えてみる。

偶然彼に救われて生き延びたけど、私は本来ここにいるべき人間ではない。
一度は死のうって決めたんだし、あの家に帰るくらいなら死んだ方がマシだ。
だけど彼に救われてホッとした自分がいたのも確かだから、

私は揺れていた。

どうすればいいのか分からない。

それでもこのままここにいて、これ以上彼に迷惑はかけられない。

だから、

「本当にありがとう。私、隼太に会えて良かった。」

私が選ぶ道は最初から一つしかないんだよ。

一生懸命私の為に生きるよう説得してくれたけど、現実のつらさの方がよっぽど辛くて耐えられないから、私はあなたを生き方を裏切る選択をするの。

ごめんね、弱い女で。

だけど今度はあなたに気づかれないようにもっとうまくやり遂げてみせるから、短い間だったけど、本当にありがとう。

朝ご飯を食べ終わった私は、

「それじゃあそろそろ帰るね。」

と彼に言葉をかけて席を立った。

すると彼もまた同じように立ち上がると、私の目の前に歩み寄り、ぐいっと自分の方へ引き寄せると、気付けば私は彼の腕に包まれていた。
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