想い花をキミに

love stage3. 絶望

いつの間にか眠っていたみたいで、目を覚ますとあたりは真っ暗だった。
寝ぼけた目をこすりながら起き上がると、部屋の中にいつもとは違う気配を感じた。
ううん。気配だけじゃない。ツンと鼻をつくようなアルコールのにおいと荒い息づかいまで聞こえてくる。

誰かいる。

そう思った瞬間──

「!?」

突然私の上に黒い影が覆いかぶさってきたかと思うと、強い力で両腕を押さえつけられた。

それは見知らぬ男だった。多分あの女が連れ込んだ男。

「やっ、やだ......だれか、」

力が強過ぎて振りほどけない。恐怖で喉が凍り付いて声も出ない。
男は完全に酒に酔っており、気持ち悪い笑みを浮かべながら私を押さえつけていた。
その目は私を見ているようで見ていない。
< 26 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop