想い花をキミに
私は驚いて布団から顔を出すと、「何嬉しそうな顔してんだよ」ってまた布団を被せられた。

私そんなに顔に出てたのかな。でも嬉しい。
隼太がまた会いたいって思ってくれていたことを知れて。
それとこうして会って話ができることも。

「ま、しばらくはお前も冬休みだろ。ここでゆっくり身体休めていけばいいよ。」

「え、いいの?」

「もう許可はもらってるから。それに、ここにいれば安心だろ。」

「うん。ありがとう。」

隼太は何から何まで優しい。

「あ、でも学校の課題とか着替えとか全部家にあるの。着替えは仕方ないけど課題はやらないと──」

「それは明日にしよう。今日は絶対休むこと。それでなくても二階から落ちてボロボロなんだから骨折してなかっただけ良かったと思え。」

「そうだよね。分かった。」

「明日、元気になってたら一緒に取りに行こう。」

「うん!ありがとう。」

正直一人であの家に戻るのは不安だった。
あの男がいると思うと今でも震えだしそうなくらい怖い。
でも隼太が一緒に来てくれるなら大丈夫だよね。
あの女がいない時間に取りにいけばいい。

「じゃあ明日また来るよ。後でドクターが診察にくると思うから気になるところがあれば診てもらうといいよ。頭とかよく診てもらえよ?」

「頭は大丈夫だよ。分かった、本当にありがとう。」

「おう。」

その後の診察で特に身体の傷以外は問題ないだろうという診断だった。
隼太の知り合いのお医者さんはとても優しい年配の女医さんだった。
同性ということもあり、すごく気を遣ってくれるのも嬉しかった。

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