想い花をキミに
高級車の手配といい高校生の一人暮らしといい、隼太には不思議なことがいっぱいある。思い返してみると、隼太の部屋は簡素だけど高級そうな家具が置いてあった。絶対に良いところのお坊ちゃんだ。そうじゃなきゃこんな暮らしはできないはず。

頭の中で一人ぐるぐると思考を巡らせていると、

「ここからどういけばいい?」

と隼太が聞いてくる。

「え、あーこの通りを左に行って、次の角を右に曲がるとある小さな家。」

「分かった。」

気が付けば車はもう、以前隼太に送ってもらって別れた場所まで来ていた。

家の前に着くと、「じゃあ近くで待っててください。」と運転手さんに声をかけて一緒に車から降りてくれた。

「多分、今はあの人いないと思うから。じゃあいこっか」

「おう」

妙に緊張する。友達でさえ来たことがない私の家。隼太が初めての来客者だ。
予想通りあの人はいなかった。

「おじゃまします。」と言って隼太が中に入る。

家の中は脱いだ服やごみが散らばっていて、とてもじゃないけど見せられないと思った。

「ごめんね汚くて」

「平気だよ」
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