想い花をキミに
「私でいいの?」

正直誰かと付き合ったこともないし、こんな私のどこがいいと思ってそう言ってくれてるのかも分からなかった。
だから付き合ってもいいのかどうか決めかねていると、

「誰でもいいわけじゃないし同情でもないよ。亜砂果だから付き合いたいって思ったんだ。」

その言葉に背中を押されるように、私は上半身を起こして座り直すと、「よろしくお願いします」って言ってペコっと頭を下げたの。

そんな私を見て隼太は「こちらこそ」と言ってはにかんでいた。


そうして隼太と付き合い初めて知ったこと。
それは、隼太も家族との間に苦しみを抱えているということだった。

隼太は幼い時に両親が離婚して祖父母の家に預けられた。祖父母はとてもかわいがってくれたけど、体力的な問題もあって中学卒業と同時に隼太の方から家を出ていくことを提案したんだって。祖父母は「大丈夫だ」って言ったけど、大変そうにしている彼らを見ていられなかったって隼太が悲しそうな目をして言うから、すごく優しい人なんだと思った。アパートのお金はお父さんが毎月仕送りと一緒に工面してくれているみたいで、お父さんにはたまに会うみたいけどお母さんには離婚して以来一度も会っていなくて、どこにいるかも分からないんだって。

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