想い花をキミに
みんなが教えてくれた中から興味を持ったのは、カフェのバイトと本屋のバイトだった。

「カフェはまかない出るからいいよね。」

「うんうん。」

中には、「メイド喫茶とか時給高くておすすめだよ。」って言ってくれたけど、私にはあんな恰好して愛想を振りまくなんて絶対に無理だと思った。だから、

「よろしくお願いします。」

「はい、清宮亜砂果さんね。今日からよろしくね。」

学校からも近くて隼太のアパートにも徒歩10分くらいのとこにある本屋のアルバイトをすることに決めた。
店長さんは温厚そうなおじいちゃんで、履歴書を差し出しながら、初めてのバイトですと緊張した感じで伝えた私に「そんなに緊張しなくていいよ。初めてでも大丈夫」と優しく言ってくれた。

良い人そうだし、こここで頑張ろう。
よしっ、と気合を入れて初めてのバイトが始まった。

私の役割は主に、レジ打ちをと棚の整理と新作を店頭に並べることだった。
そんなに難しい作業もなくて、「焦らなくていいからゆっくり正確にね。」と
言ってくれる店長さんのおかげで大きな失敗なく初めての出勤を終えることができた。

「最初の月は1日3時間で週3回くらいから初めて、慣れてきたら増やして行こうか。試験前とかは言ってくれたら調整するから教えてね。」
と店長さんはすごく気を遣ってくれるから、ここなら長く続けられそうだと思った。

今までは自分の人生を悲観してばかりいたけど、一歩外に出てみるとこんなにも素敵な人がいるんだと知ることができたの。
これも全部隼太がアドバイスしてくれたおかげだ。

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