想い花をキミに
バイトからの帰り道は、弾む足取りで隼太のアパートへと向かった。
学校が始まってからは自分の家に戻っていたけど、こうして頻繁に隼太の所へ足を運んでいる。

「ただいま。」

と玄関を開けると、お風呂あがりらしき隼太が「おかえり。」と出迎えてくれる。

「初めてのバイトどうだった?」

「結構楽しかったかも。」

「頑張れそう?」

「うん!店長さんもみんな良い人ばっかりだし。」

「それなら良かった。」と隼太が私の髪をくしゃっとなでる。

「そういえば隼太もバイトとかしてたの?」

「まあ色々経験したよ。」

「そうなんだ。例えば?」

「カフェとかもやった。あと一番時給良かったのは、まあこれは秘密だ。」

って濁すから気になってしつこく聞いたら渋々「ホスト。」って教えてくれたけど、そんなイメージなかったからすごく驚いた。

「知り合いに頼まれて内緒で3日くらいだけだけどな。」とさらっと言ってるけど、隼太は普通よりはかっこいいし、ううん、私にとってはものすごくかっこいい人だからなんだかちょっと妬けた。私の知らない彼がいるのは当然だけど、それがなんだかもどかしいの。

こんな小さいことで嫉妬しちゃいけない、そんな器の小さな女じゃダメだよねって思うけど、
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